「奈田」
ぼそっと耳で囁かれる。
「…早「憂樹」
あ、やばい。
心臓が爆発しそう。
「憂樹」
「…」
「憂樹…俺、」
そこで早馬くんは言葉を止める。
「や、やっぱりこんなのやめよ…」
「憂樹はイヤ?」
まただ…
「嫌じゃないけど…、」
「…ゆーき」
そうぼそっと言って今度は正面から『抱きついてきた』が正しいと思う。
かわいい。
少しだけ、背中に手を回す。
「…真言がいい。真言って呼んで?」
「え、そんな…え」
早馬くんは少しだけ私から離れて顔を見せる。
「憂樹」
ほんのりと赤い顔で言った。
「ま、ま、真言…?」
「ハテナいらないのに」
そういうとまたくっついてくる。
「早馬くん暑いよ」
「真言ね。さっき言ったじゃん、離したくないし」

