「いや、それ自体はまだいいとして。早馬がキレたとかなんとか聞いたんですけど」
「キレてはないキレてはない」
「でも早馬ってそんなキャラだっけ、親友の新崎よ」
新崎くんは携帯をいじっていたのを止めて
「噂とか一切気にしないし、寧ろそういう女子に話しかけることなんて一度もないね」
確かに…早馬くんが今朝みたいなことをしなさそうな性分なのはわかる。
でも、じゃあなんで…?
「気に食わなかったんだよ相当。奈田さんが自分を惨めに思ってること」
「え?」
惨め…?
「『早馬くんとなんて合わない』としか思ってなかったでしょ、奈田さん」
「確かに…でもアンタ惨めとか言わないでよ」
何か…何か間違ってますか
「何々、揃いもそろってお前ら奈田囲んで言い合ってんの」
心臓がドキリとする。
言い合ってる二人は私達を見ると少し顔を見合わせた。
「チッ」
え?
今…新崎くん舌打ちしました?
「奈田さん」
新崎くんは私を呼ぶと───
「健祐!?」
私を引っ張っていった。

