「真言く「憂樹」


パッと目があって、お互いすぐに逸らす。


「…先、しゃべっていいよ」


真言くんが向こうを向きつつ言った。



「わ、わかりました」


真言くんの手がぎゅうっと強くなって。



「…あのね、このことお母さんには内緒にしたいんだ」



丁度、昔1号がいた橋の下へと来た。



「いいよ。憂樹が嫌なら、打ち明けたい時に打ち明けよ」



「あ、ごめん!そんな嫌とか重たいことじゃなくて、うちの母親相当のラブコメ好きでして…」



真言くんが「あ、そういうことね」と納得した様子。



橋を出た瞬間、足が止まる。



「…今気づいたけど、ほっぺどうしたの?」



あ、柵瀬くんに怒られた時の…



「これはその…さっき柵瀬くんに…わふっ」



急に引っ張られて驚いた。



「何となくわかった。ちゃんと冷やしときなよ」



「…うん。ありがと」