「わっ私にやけてた!?」
明は柵瀬くんと目を合わせて頷く。
「ふにゃふにゃって言うんですか?その…」
最後の方がよく聞き取れない。
「何考えてたの?」
「え?いや…別に」
「も~変なとこで口固いなあ」
明はもう一口たい焼きを口に運ぶ。
「あ…俺ここらへん家なんで。それじゃ!」
「え?ここらへんなんだ?」
「はい、また色々とお願いします」
柵瀬くんは手を振りつつ、堤防を降りていった。
「で」
「え?」
「真言でしょ、さっき思い浮かべたの」
心臓の音が何倍にも膨れ上がる。
「なんで…」
明は耐えきれずぶふっと吹き出す。
「見てればわかるよ、おばか」
軽くおでこをどつかれた。

