「いって!」
消毒液を垂らすとそんな声が保健室中に響いた。
「ごっごめん…!あんまり上手じゃなくて」
「いや、これ実際は俺が作った傷みたいなもんだし…っ」
必死に脱いだシャツを掴んで我慢してる。
『二年奈田憂樹さん、二年奈田憂樹さん今すぐ職員室まで来なさい』
あーあ。ついに呼び出し、か。
「いいの?行かなくて」
「あともう少しだから。柵瀬くんも我慢してね」
「う、うっす…」
頭に包帯を巻いて全部が終わった。
「お疲れ様。もう服着ても大丈夫だよ」
「あざした。先輩、そろそろ行かねえと」
色々聞きたいことがあった。
君いじめられてるんじゃないの?とか
何であんな風にされてたの?とか
でもなぜかそれを察した柵瀬くんは無理矢理にも保健室から出す。
「先輩優等生なんだから行かねえと!」
それしか言わないので、お言葉に甘えることにする。
私のこと、知ってたんだ、柵瀬くん。

