「おっおい待て!」
金髪くんはおぼつかない足取りでこっちへ来る。
「あざした。俺あのまま諦めてたから」
「え…?ていうかその怪我、せめて治さないと」
「いいんすよ。こんなもん」
でも切り傷やら痣やらが目立つ。
「前、階段から落ちそうになってた先輩ですよね」
「あ、うん。奈田憂樹っていいます」
「俺は柵瀬 錐也(サクライ キリヤ)一年です。」
お辞儀されたのでし返すと、
「先輩さっきはすんませんした。」
「え?何が、かな」
「助けてくれたのに、あんなこと」
「あ、いいんだよ。全部事実だしさ」
多分私は少しずつ早馬くんに変えられていっている。
きっといい意味で。
「っ…いてて。」
「やっぱり応急処置くらいはしとかないと」
柵瀬くんに肩を貸すとやっと言われるがまま状態になってくれた。

