寒いのか暖かいのか。意味の解らぬ季節の空の下。
「めんどくさ。」吐き捨てた自分は、空から見ればちっぽけな存在だろう。
隣では浮かれに浮かれきっている友人がにこやかな笑顔で鼻歌を歌っている。
「ふんふんふーん♪」
「なんでそんなに気楽なんだよ……。」
呟くことしかできないとはなんと惨めなのだろうか。
「今日も一緒に帰るんだー♪」
「さすが男をとっかえひっかえやってるだけあるな。」
「や、やってるって何言っとん(笑)」
「なんの妄想してんだお前は。」
神戸の空の下。どこにでもある田舎道を歩く私たちは、登校途中と言ったところだ。
「そんな浮かれてて良いのかよ。テストだぞ今日も。」
「今日の教科最悪……。全部死んだーアハハッ(笑)」
特徴的な笑い方をするコイツはいわゆるリア充ってやつだ。
中学生になる前からリア充と非リア充をいったりきたりしてるコイツは私が転校してきた時からの友人である。
「くぅちゃんも帰りに着いてくるんだからねー。アハハッ。」
「はぁ!?なんで私まで!?だって愛しの鈴木くんは二人きりが良いって言ってるんでしょ!?」
「だってー。無理だよー。二人きりなんてー。」
「まぁ、別にいいけどさぁ。」
申し遅れた。いつ挟もうかと……。
私は栗本皐月という。で、隣のコイツは柿沢千里。行動力があるけど少し面倒なやつだ。
コイツのお喋り度はあの大阪のおばちゃんを裕に越すと思う。喋っても喋っても飽き足りないようだ。
教室についてもお喋りは続くのだ。
「それでねー♪それでねー♪」
「あぁ、解ったから。チャイム鳴るし座れ。」
「つまらん!!」
いつもいつも同じような日々。
コイツはいつまでも飽きたらず喋りまくり、私はただ聞いてるだけだ。
少し面倒なやつだけど良いやつだ。コイツは。
