いつか きっと…


店を出ると、手を繋いで歩いた。


まだ少しだけ抵抗のある呼び方も、何度か間違えるたびにしっくりと馴染んできている気がする。


ゆっくりと、少しづつ縮まる距離感がどこか新鮮で恥ずかしくも感じた。


「美桜、何か欲しい物ある?」

「欲しい物…?」


しばらく真剣に考えこむ。
親から与えられる物で、私の周りは溢れていた。


愛情で埋められない隙間を、物で埋めて行くのは母親のやり方だ。


彼女が海外に出張に出掛ける度に、望んでもいない物欲だけが満たされていく。


そのうちに、自分から望んで欲しい物など考える事も無くなっていた。