ナイフは無造作に振り回されるたびに、街の灯りと同調しながらキラキラと光る。 私は完全に動けなくなっていた。 あまりにも非現実的な光景。 まるでテレビの四角い画面の中の出来事みたいだった。 私が現実に連れ戻されたのは、微かに遠くから聞こえてくる音。 パトカーのサイレン。 本当に微かだけど間違いない。 「警察!」 野次馬の誰かが叫んだ。 そこに居た誰もが、その声に反応するように動きだす。 その声が合図だと言わんばかりに…。