そよそよ気持ちいい風。
ふわふわ微睡むお昼時。
今日も、屋上でうたた寝をしてお昼が終わりそう。
私、杏子(あんこ)。
杏子には、彼氏がいます。
それは、隣でチョコケーキを食べてる悠。
「杏子も食べる?」
「もらう」
悠はプラスチックのフォークにチョコケーキをのせると、口を開けるように催促する。
もちろん私は魚みたいに口を大きく開けて。
「…んま」
「どういたまして。うまいよなぁ、これ」
悠に食べさせてもらってすぐに、口に広がるチョコの味。
んまんま。
「なぁ杏子、明日遊ぼう」
欠伸しながら言う悠は、私が断らないのを見越してる。
そう、断らない。
断ったことがない。
断れない種族なのを知ってるみたいに。
「なにするの?」
「ん〜ゲーム?ゴロゴロしたい」
コンクリートの床に寝っ転がると、悠は寝始めた。
猫みたい。
「私ゴロゴロしてたら寝ちゃうよ」
「知ってる」