ここは、有名な居酒屋、カシス。

昼間は楽しく賑わっているこの居酒屋は、夜になると雰囲気が一変して、怪しい人々の情報交換に使われる。

「上手い!!なんだこの酒は?香りといい味といい、最高だ!!親父!この酒はなんと言う?」

その中の一番奥の席に漆黒のサングラスで瞳を隠している二人組の男が酒を味わっていた。

その内の一人が、グラスの中の赤い液体を口に含み、テンションを上げていた。

「…お客さん、それは一杯250円のどこにでも売っている超安物ですよ…」


その言葉を聞いた男、クーラは世界の破滅を知った様な顔をし、フラフラともう一人の男、ルナの隣に腰掛けた。

「…恥ずかしいからやめろよ。」

ルナはクーラの事を、まるで汚物を見る様な顔で見つめた。

「そんな目で見るなよ、照れるじゃねぇか。」

カチ…

クーラは、その言葉を全く気にせず、ポケットから煙草を取りだし口にくわえて、火をつけた。

「ほらよ。」

クーラは、ルナにも煙草を渡し、先ほどと同じように火をつけた。

「…ふー…しかも、今日は酒を飲みに来たんじゃねぇだろ?」

「ああ。」

その時…

「聞いたかよ?次はこの辺りで見つかったらしいぜ!例の丸焦げの死体。」

その言葉に二人の瞳が怪しく光った。