「新婚生活はどうですか?副社長」



俺を除く幹部達は皆、年上ばかり。


息子のように可愛がってくれた。




「…いえ、まぁぼちぼちです」



何がぼちぼちなのか俺自身も判らない。適当な言葉が見つからず意味不明な返し方をしてしまった。



麻友の父親・安達社長の登場で会議室の和んだ雰囲気が一掃された。


俺も唇を引き結んで社長の椅子を引く。




「ありがとう…副社長」



「いえ…どういたしまして」



社長が座ったのを見計らって、俺も隣の椅子に座った。



社長には麻友を幸せにしてくれと頼まれたのに。


現実は、麻友に辛い思いばかりさせていた。


社長に対して、罪悪感を感じてしまう。