彼の視線は予想通り、私の胸許に集中する。



私は襟ぐりの狭いワンピースを選んで着たつもりだけど、大きな胸は隠せなかった。



「別にいいけど。元々、俺は結婚する気ないが、結婚しなければいけない事情がある。麻友さんでも構わない」




「よかった…」


姉は安堵の息を漏らし、撫で下ろす。




ウェイトレスは再び現れて、ホットを置いて行った。




「俺は麻友さんと二人で話がしたい。君はもういいよ。知香さん」




「あ、はい。麻友、後はお願いね…」




姉は私と蓮人さんを残して、ティーラウンジを出てしまった。




「随分と舐められたもんだ」



蓮人さんは不機嫌に吐き捨てる。やはり、私達は彼を怒らせていた。