先輩×後輩



「いつまでもくっついてないで手伝ってよ」

「…ちっ」



優子がそう言うと、俊くんは舌打ちをして腕を離した。


俊くんがリビングの窓から庭に行くのを見送ってから、優子がこそっと言った。



「俊くん、相当妬いてたらしいじゃない」

「え?」



俊くんが?


…え、いつ?


あたし…全然気づかなかったけど。



「この間の花火大会の日よ」



花火大会の日?


俊くん、妬いてたの?



「俊くんの友達に会ったんでしょ?」

「うん。でもすぐわかれたけど」

「その友達、さくらのこと狙ってたんだって。きづかなかった?」



え!?


狙ってたって…


あたし、全然気づかなかったけど!



「それで俊くん、ヤキモチ妬いちゃったんだってさ」



優子はこの話を光輝くんから聞いたんだって。


俊くん…そんなことでヤキモチ妬いてくれてたの?