「いってきまぁす」
家を出ると、やっぱりもういるあたしの大好きな人。
それもっ…
「なんで!?」
「会って一言目がそれかよ」
俊くんは呆れてるけど、そんなの気にしない。
あたしは慣れない浴衣なのを忘れて俊くんのもとに駆け寄った。
そう。
あたし、今日はママに浴衣を着せてもらったんだ!
白地に淡いピンク色の桜が描かれた、お気に入りの浴衣。
俊くん、可愛いって言ってくれるかな…
…言ってくれるわけないよね。
素直じゃないしぃ。
「わっ!!」
案の定、慣れない浴衣に慣れない下駄のせいで、足元が絡まり…
あとちょっとで俊くんのところにつく、というところでつまづいたあたし。
うそっ…転んじゃう!?

