先輩×後輩



ゆっくりと俊くんが近づいてくるのがわかる。


鼻先がくっついて、これ以上近づいたら…


あたしは待ちわびていたように、ぎゅっと目を閉じた。



「さくらって…子供だよな」

「…は?」



フッと笑いながら言う俊くんに、ポカンと口を開けるあたし。


あ、あれ…?



「キスでもされると思った?」

「え?や、ちがっ…」

「何勘違いしてんの?」



って…ムカつく!!


年下のくせに何この態度は!!


それにあたし、子供じゃないし!!



「CDの中身言わなかっただけで怒るかよ、普通」

「だ、だって…」



中身くらい、教えてくれたっていいじゃん!


あたしはね、俊のことはなんだって知りたいんだから!!



「…ほら」



そう言うと、俊くんはさっき買ったCDの袋を渡してきた。


え、なに…?


中身見ろってこと?


あたしは袋の中に入っているCDを取り出した。



「…え?」