真夜中の月が街に怪しく乱反射する。
星は逃げるように空に舞う。















ピリリリ…















ソレは
一本の電話に肩をピクリと揺らす。












黒いパーカに身を包み
フードを深くかぶったソレは
携帯をそっと耳に近づける。








カチャ









「…もしもし。こちらは任務完了。」







無機質な声色で相手に一呼吸で
伝言を伝える。








「了解。いつもより遅かったな。」







電話の向こうからは
少し心配したような
やはり無機質な声が応えた。








「あぁ。少々手間取った。」

そう言ったソレは電話を切り
その場を立ち去ろうとした。









「お…い…。」











側で声が聞こえる。
ソレはゆっくりと首を傾けた。








「まだ、居たのか。さっさといきな。」










ソレの姿が一瞬消えた様に見えた後、
声の主の姿はどこにも無かった。









ソレは今度こそ
その場を立ち去る。














腕の刺青をさらけ出しながら…。






























そう。
桜と龍の…。