まさか、本当にこんな事が起きるなんて……。

目の前で無邪気に僕に笑いかけてくる露。

そこにあるのはいつもと変わらない、僕の心を癒してくれる露の笑顔そのものなのに……。


「おにいちゃん?」


無垢な笑顔で僕を呼ぶ露を見て、僕は目を細める。


――露が僕を“お兄ちゃん”と呼ぶわけ。

それは、さっきの僕の質問がはっきりと答えを教えてくれた。

『露ちゃんは何歳?』という質問に、彼女はためらうことなく『4歳』だと答えた。最初はからかっているのかと思った。

けれど、目を覚ました時の露の様子や、僕をお兄ちゃんと呼んでいることから、とても嘘をついているようには見えず、信じがたいことではあるが、現状がそうである以上、疑いようもなかった。