それならば急がなくても大丈夫か、そう思った医師であったが次のふたりの会話を聞き、自分の耳を疑った。


「あ、でも、同年代の霧くんをお兄ちゃんって言ってたね?」

「うん、なんだか子どもっぽい感じだったし」

「あら、でも露ちゃんはいつまでも子どもよ?」

「そうだね」


医師は笑いながら話す二人の会話を聞きながら、見る見るうちに青ざめ、そして、


「……今、なんとおっしゃいましたか?」

「え?」


穏和な医師らしからぬ、低い声で二人をじっと見ながら問いかけた。


「露ちゃんはいつまでも子どもって……?」

「いえ、その前です!」

「えっとー、子どもっぽい?」

「!!どーして、それを早く言ってくれないんですかっ!?」

「えっ!?先生!?」