露の言動に違和感を覚えた僕は、少し後ろに立つ綺さんに向き直る。


「あの、すみませんが露とふたりきりにしてもらってもいいですか?」

「え?ええ、いいわよ」


なぜ露がこんなことを言うのか。

ふたりで話して確かめなければ。


「それじゃあ私たち、お医者さんとお話してくるわね」


僕のお願いを聞いてくれた陸さんと綺さんが病室を出ようとドアに手を掛けると、


「あやちゃん、りくくんっ!どこいくの!?」

「え?少し外に行くのよ」

「やだっ、いっちゃやだ!!」


ふたりの後姿を見た露の顔が急に青ざめ、身を乗り出して二人を引きとめようと必死に叫ぶ。

それはまるで、親と離れるのが嫌で駄々をこねる子どものような姿だった。


「露、少しだけ僕とお話しないか?」