露が眠っている間、ずっと伝えようと思っていた言葉。

僕を庇って事故に遭ってしまった露に伝えなくてはならなかった言葉。

また露が笑って『霧様』と呼んでくれるように。

僕に笑いかけてくれるように……。


「……」


でも。

はっきりと僕の声を露に届けたはずなのに、露は何も答えを口にしてくれない。

露とはしっかりと目が合っているのに。

目の前にいるのに。

なぜか露はなにも反応を示さないままでいる。

もしかして、僕とは口も利きたくないほど怒っているというのか……?


「露……?」


もう一度確かめるように梅雨の名を呼ぶと、露は今度は僕から視線をずらし後方に立つ綺さんの方を見た。


そして……。