「目が覚めたらお話しても大丈夫ですが、あまり無理はさせないようにしてくださいね」


病室に入ると、看護士たちはすぐにベッドを整え、露をストレッチャーから移動させてくれた。

看護士は室内の説明と、露の目が覚めたら医師を呼んで欲しいと言う事を伝えると、最後にそうひと言だけ言い、静かに部屋を出て行った。

部屋に残されたのは、眠っている露と、僕と露の両親。

――僕はまだ、2人に伝えていない言葉があるんだ。


「申し訳ありませんでした」

「霧くん……?」


露の布団をかけなおしていた綺さんと、その隣に座る陸さんに向かい、深く頭を下げる。

二人の表情は見えないが、その声から驚いている事が伺える。

でも、僕は頭を下げたまま続けた。


「僕が一緒にいながら、露をこんな目に遭わせてしまい、申し訳ありませんでした」


きっと、露が事故に遭ったと聞いたとき、2人の心中は尋常ではなかったと思う。

心配して、心配して気が気じゃなかったはず。


そんな思いをさせてしまったのは他の誰でもない、この僕だ――。