相田さんと呼ばれる女の子は

立ち上がり自己紹介を始めた。


スムーズに進んでいく自己紹介を緊張しながら聞いていると

どんどん自分の番が近付いてくる。


しかし、

ある人の番になった時、そのスムーズさにストップがかかった。


「じゃあ次、田辺満くん」


「はい」


彼は返事をして立ち上がる。


けれど、周りは一気にざわついた。


何……?

ざわざわと話している声を不思議に思っていると


「ねぇ、あれって例の田辺くんだよね?」


「お父さんの会社が倒産して

両親も離婚して、今親戚の人と一緒に暮らしてるっていう人でしょ?」