すると

コンコンー。


ノックの音が聞こえて母が入ってきた。



「沙良、制服クリーニングかけようと思ってたんだけど

もう着ないよね?それなら捨ててもいいかしら?」


「制服は……」


きっともう着ない。

必要はない。


だけど


「ネクタイだけ……取っておこうかな」


お気に入りだったネクタイだけは


どうしても捨てられなくて

私はハンガーからネクタイを外すと

ペラっとめくれたネクタイを見た。



…………?


すると


その裏に何かが書いてあることに気が付いた。


「何だろ……これ」


ネクタイに書かれた黒い文字。