その反動で田辺くんはお弁当箱を落としてしまったみたいだった。
無残に散らばるお弁当の具。
うつ向いて、何も言わずにそれを拾う田辺くんを
周りは笑っていた。
「ちょっとあれウケる」
「鈍臭いのが悪りぃーんだよ」
ひどい……っ。
私は自分もイジメられていた時の事を思い出した。
誰も助けてくれない世界は暗すぎて何も見えない。
そんな世界で過ごすのはもう嫌だった。
そんな世界にいる人を見て見ぬ振りするのも嫌だった。
すぐに駆け寄って一緒にお弁当の具を拾うと
後から梓もやってきた。
「これ中に入れちゃっていい?」
「いい、手汚れるから」


