梓はあまり感情的になる方ではない。 だけど私の手を強く握って涙をためた瞳で見た。 その目は少し腫れていた。 昨日隆平の病気を初めて聞いた梓 彼女だってそんなにすぐに受け入れることは出来ない。 怖いのはみんな同じなんだ。 「ごめん梓……そうだよね 落ち着いたら隆平の部屋、戻ろ」 「うん」 気持ちはすぐに強くなれない。 それでも彼の側にいてあげられる限り その苦しみを分け合える気がした。