楽しい事が好きだ。 人の笑った顔を見ていたい。 それは何があっても変わらない。 だから 最も大切な友人を悲しませることだけはしたくない。 今の俺にある気持ちはそれだけだった。 人を悲しませないこと……。 ぼやーっとした頭で考えながらトイレに向かうと 俺の隣の部屋の前で泣いてる女の人がいた。 「弘樹……」 この部屋の中にいる人のお見舞いに来たんだろうか。 ハンカチで涙を拭いて必死に泣いてないフリをしてから 中に入って行くその彼女。 中から聞こえて来た声は 「ただいま、弘樹!」