───おちちゃった……おほりの中に……。
「あららー。やだ、郁ー、落としちゃったの~??」
………おかーさんのこえに、はっとした。
なんとかとどかないの?と思ったけど、
おほりのまわりには、ぐるりとさくがあって、水もふかそうだった。
あれ、トコちゃんのおきにいりのフリスビーなのに。
あたらしく買ってもらったばかりだって、言ってたのに。
……トコちゃんの……どうしよう………
───おじーちゃんもおかーさんも、僕の横で何か言っていたけど、
今にも泣き出しそうな僕の耳には、何も入らない。
「───……」
水にできたわっかが、だんだん消えていくのを見ていたら、
僕の目になみだがたまってきた。
「トコちゃ~ん………ごめんなさい~……」
ちっちゃい声であやまったら、もっともっとなみだが出てきて、
僕はなんかいもあやまりながら、シクシク泣き出した。


