「ふぇ………」


ドキドキが涙にかわり、べそをかきそうになった、その時───



「………いくちゃん!」



ぼくをよぶ声。


────どこ? ……おかーさん!?


「いくちゃん、いた!」


ポンッ!と肩をつかまれ、びくっとふり返ると、

息をきらしたトコちゃんが立っていた。


「よかった~、いなくなるからビックリしたよ~」


はぁ…と息をつき、トコちゃんが笑った。