★ ★ 家に着き、裾の濡れたデニムを着替え、 洗濯機へ放り込みに1階へ降りてきたら、 「郁生くん、郁生くん」 キッチンの方から声がして、 顔を覗かせると、トーコさんが手招きしてる。 「なに、トーコさん?」 「ありがと。あったかいの入れたから飲んで」 ふわっと湯気が立つマグカップを手渡され、 「あと、おまけ」 トーコさんがグーにした手を出すから、 反射的にこっちも手を差し出すと、 手のひらに乗せられたのは────ちっちゃくてさんかくの、いちごみるくが3つ。