「んも~泣くことないでしょー、しょうがないじゃ~ん」


おかーさんがよしよし頭をなでてくれるけど、

僕のなみだも、「ごめんね」も止まらない。


すると───……


「あたし、取ってくる!」


そんな声に驚いて顔をあげると、

トコちゃんがおほりのさくに足をのせて、
とびこえようとしていた。


そのトコちゃんを、おじーちゃんがあわてて後ろからガシッととめる。


「棒とか使ったら、取れるかも!」


そう言うトコちゃんに、
僕のなみだがびっくりしすぎてひっこむ。


おじーちゃんに「無理だよ、危ないからやめとけ」と怒られて、

おかーさんに「トコぉ、冗談でしょぉ」と笑われ、


「だって、………」

トコちゃんが、くやしそうにうつむく。


そうだよね、ごめん……

トコちゃんのおきにいり……僕がなくしちゃった……。


そんなトコちゃんを見ていたら、
一回ひっこんだなみだが、もっかいグーッとこみあげてきた。