そんな父親が俺が高校に入るのと同時に再婚。
相手も子連れらしく、俺は完全に邪魔者だった。
二週間前に突然親父から今の住所を書いた紙を渡され「お前は明日からここへ住め」と言われた。
そんな親父に寂しさや怒りは全くない。
むしろ、嬉しいと思った。
父親から離れられる。
空気や邪魔者扱いをされるよりよっぽどマシだと。

そして始まった高校教師、紘との同居生活。
最初は緊張したけど、今はもう慣れた。

『おい、戸締りしてこいよ?』
「わかってる」

親父といるよりよっぽど俺を人間としてみてくれる。
なにより一番は、紘が先生って感じがしないこと。
悪い意味じゃなくて、いい意味で。
とにかく、一緒にいて凄く気楽ってこと。