「へー……」
なのに返ってきたのはそんなつまらない返事。
へー、って。おい。
もういいよ、なんだこいつ。
「あ~!!わたし、親に買い物頼まれてたんだった!じゃ、田中バイバーイ」
「…え、ちょ」
わたしはそんなわかりやすい嘘をつき、
走って……逃げた。
角を曲がって
やっと一人の空間になり、
またゆっくり歩き始めた。
「………」
遠回りで帰る道。
いつもとはまた違う景色も新鮮。
そしてふとまた今日の席替えを思い出す。
あれだけ金曜日の憂鬱な六時間目。
席替えで鈴森くんと隣になったことが
それを憂鬱じゃなくした。
むしろ、なんだか良い気分になった。

