side 田中
いつものように遅刻ギリギリの時間で
登校してきた俺。
「あれ…」
廊下を歩いてると教室の前には
何故か、矢野と夏目の組み合わせペアが
何か話し込んでいるのが見えた。
この前、席替えしたおかげで
すっかり心がぽっかり空いた。
夏目は隣の席になった鈴森と
仲良さそうに喋ってるし。
しかも今は何故か知らないけど
矢野と話してるし。
…この前までは、俺と隣で
喋ってたのに、
なんて嫉妬してしまう。
やっぱり、好きな奴が他の男と
仲良さそうにしてると
こんなにも胸が痛くなるんだな。
改めてそう思った。
席につき、再び夏目の方に目をやると
そこにはもう矢野はいなくて、
1人口をポカーンと開けた夏目が立っていた。
それを見てつい俺は笑ってしまった。

