うちの会社が全国大手の傘下になったことから、今まで以上に知名度を向上させていた。

その中でも企画営業部の知名度は大変高く、その全盛期を担ってきたのが俺と水鳥だった。

もちろん優秀な部下にも恵まれ、全国区のCM対象やイベント大賞、更には『結婚したくなったイベント』投票で断トツの最優秀賞を受賞したりもした。



あれよあれよと名前ばかりが独り歩きするようになり、少数精鋭で企画に取り組んでいた企画営業部はあっという間に仕事を受けきれないほどの盛況ぶりで。

俺が企画営業部を離れ経営に専念することになったのをきっかけに、イベント事業を子会社化して切り離してしまおう、ということになった。


扱うのはキャンペーンガールを扱う大型イベントや、柴田財閥、南ホールディングスから受注する『綺麗めな女の子』を扱う仕事など。

きめ細やかな対応が求められる職場になるのは目に見えていたが、現在の課長を代表にしてしまうと自社の現場に支障が出る。

自社との調整と先方とのやり取りを全てこなせるのは、業界の経験年数なんてものよりも周囲との距離感を上手く掴む能力のある『女性』が必要だったのだ。




「本当は、秘書課に異動願い出してたんだけど、受理されなかったのよ。どこかから圧力でもかかったのかしら」


「・・・そんなの通る訳ないじゃないですか・・・」




『ね、部長』という声が聞こえてきそうな視線で俺を見るのは。

企画営業部課長:櫻井 圭都。

良く分かってるじゃないか、という視線をソイツに返して水鳥へ視線を向けると、とても楽しそうに笑う顔がそこにはあった。