「お父様・・・、個性的ですものね」
「いいよ、そんなに気ィ遣わなくて。正直に『変わってる』って言いな」
うちの親父は、資延の中でも異端児だった。
頭の回転の良さと頭脳の明晰さを持っていたにも関わらず、人との関わり方が極端に下手だった親父は、資延の家に上手く馴染むことが出来なかった。
長男である叔父は父と真逆で、頭脳という部分では平凡だったものの『世の中を立ち回る術』を幼い頃から身に付けていた。
それは祖父の背中を良く見ていた証であり、叔父が祖父を尊敬していた証でもあった。
だが、父は違った。
年齢を重ねる毎に『自分の家は他とは違う』ことに劣等感を覚えていったのだ。
家族と一緒に出掛けたり、家族と一緒に食事をしたり、家族と一緒に寝たり。
そんな当たり前のことをしたかった父にとって、祖父は『良い父親』とは言えなかったのだろう。
当然だ。
柴田に仕えることに必死になっていた祖父は、家族よりも柴田の家を優先してしまっていたのだから。
それでも、資延の家の中にはいつも沢山の人がいて、家族ではないけれど家族以上の愛情を与えてくれる人が沢山いたはずだ。
心を開かないとはいえ、家族をとても大切に想っており、家族をとても好きだった父。
そんな父が資延の家を飛び出したのは、十六歳になった時だった。

