だから私は雨の日が好き。【花の章】






『かず、いっちゃいや』


『ひめ・・・』


『ひめはかずといっしょにいたいの。だめ?』




うるうるの目で見つめられ、別れたくないと縋る女のような台詞を、溺愛する姪に告げられた俺。

そんな至上の告白を無碍にすることなど出来なくて。

言葉に詰まりながらも『わかったよ』と小さく了承したのだった。


すると、今度は信じられないくらい嬉しそうな笑顔になって俺に抱き付いて来る姪。

とんだ小悪魔になりそうな予感で頭が痛くなった。




そして想った。

顔だけでなく、中身も間違いなく『姉譲り』であるということを。




こんな俺と姪のやり取りを見ていた姉がほくそ笑んでいたのは、言うまでもなく。

『計算通り』という満足げな顔をしていた姉に、今後一切、逆らうことはないだろうと思った。


姉は同居を決めたその瞬間から。

俺をこの家から出さない方法を考えていたに違いなかった。


一緒に住んでしまえば、あとは俺が姪にほだされてしまうのを待つだけで。

義兄さんがいない中で姪が俺に懐くのは至極当然のことだった。

俺が子供好きであることを知っている姉は、俺が姪を溺愛することを見越していただろうし。

姪が俺に泣き付けば、俺が出ていかないという選択をするに決まっている、と。

だから姪が分かる言葉で姪を焚き付けたのだと分かった。




気付いた時には、何もかもが姉の思惑通りに進んでいて。

俺は義兄さんが帰ってきても同居せざるを得ない状況になっていたのだった。