だから私は雨の日が好き。【花の章】






「向日葵の花言葉は『あなただけを見つめる』って言うんだ。貴女にぴったりだと想った」


「私に?」


「そう。櫻井さんしか見てない貴方に、これ以上似合う花はないと想ったんだ」


「・・・それと、あのCMに何の関係があるの?」




彼は笑った。

弱々しい笑いで、それでもとても大切そうに笑った。

そして、静かに教えてくれた。

Clytie(クリュティエ)の悲恋の神話を。





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水の精、クリュティエ。

彼女は太陽神アポロンに恋をした。

アポロンは太陽。

人々を照らし、世界に愛されている人。



けれど、彼は一途で自分の愛した人のためだけに生きていた。



クリュティエは、叶うはずのない片想いをしていたのだ。

来る日も来る日も太陽を追いかけ。

アポロンを見つめ続けたクリュティエ。

流した涙と夜露に濡れても、彼を追いかけ続けた。




そして、彼女は花になった。

涙を流すことも、苦しいと口にすることも出来ない花に。

ただ太陽を見つめるだけの、花に。




向日葵。

あなたに憧れ、あなたを見つめる。

もう一度、そんな風に見つめることが出来るなら。

生まれ変わったら私は、そんな風にまた恋をしたい。


今度は、あなたではない誰かのために。




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