だから私は雨の日が好き。【花の章】






そう言って身体を離し、手を引いてベッドまで誘導された。

コートを脱がされ隣に座らされて。

何もかも、彼のなすがまま状態の私。


いつもの強気はどこへ行ってしまったのか、と。

自分で自分を疑いたくなるような状態だった。



ただ出来るのは、彼を見つめること。

それだけだった。





「さっきのCM、ちゃんと見てた?」


「見てたわよ・・・。切なかったわ」


「あれ。構成からコピーまで、俺がゴリ押しして通した企画なんだ」


「え・・・?そんなこと、出来るの?」


「するために東京に行った。直接話しないと、こんな企画通る訳ないってわかってたから」




社長が『行ってこい』と言ったはずの出張。

それは確かなんだろうけれど、彼は自分の意志で三ヶ月も行っていたのだ。

この年末の企画にそれだけ力を入れていた、ということなのだろう。


改めて企画営業部の行動力に驚かされることばかり。

タフな人間ばかりが集まるんだな、と感心したのと同時に。

仕事バカばかりの部署に呆れもしていた。




「そんなに想い入れのあるものなの?」


「あのなぁ・・・、ホントにちゃんと見てたのかよ?」


「・・・?見てたわよ。ちゃんと」


「じゃあ、気付けよ。誰のために作ったものかくらい」


「何よ・・・、それじゃあまるで、私のためみたいじゃない」


「そうだ」




彼の目は真剣そのもので。

その言葉が嘘ではないことを物語っていた。


私は放たれた言葉の意味を理解できずに、ただ瞳を揺らし続けていた。