「社長、本日は本当にありがとうございます。是非、森川の仕事を見てやってください」
「もちろんだ。とても楽しみにしていたからね。例の計画は、どうなっている?」
「本人にはこれから伝えます。現場の内容は頭に入っているので、問題ありません」
満足したように頷く社長と、自信満々に笑う櫻井君。
隣できょとんとしている山本さんと目が合って、少し困ったように笑顔を向けられる。
内容を理解していないのは私達だけのようだ。
「杉本君。悪いがこれから副社長と打ち合わせがあってね。櫻井君にも手伝ってもらわなくてはいけないので、待っていてくれ」
「はい。畏まりました」
「悪いな、杉本。山本は杉本をプレスルームに案内してくれ。時間までここにいたんじゃ、風邪をひく」
「わかりました」
各々の上司に言われたのでは仕方がない。
山本さんと二人でプレスルームへと向かった。
二人で並んで歩いていると、山本さんが困ったような顔をしていた。
それもそうか。
去年の今頃、私は櫻井君に夢中で。
彼女を傷付けることばかりをしてしまったのだから。
過去の自分をなかったことになんて出来ないし、あの時の自分はああするしかなかった。
それが結果的に彼女を傷付けてしまったのであれば。
私はそれを償わなくてはいけないんじゃないだろうか。
そんなことを考えているとプレスルームについてしまった。
最終調整のため出払っているのか、部屋の中には誰もいなかった。

