「お待たせ」
「あ……」


会議室には、いつもの木村さんと谷口さんがいて……。
二人ともやっぱり気まずそうな感じ。


「あの……上沢さん。
 あたし、今回の企画から外れてるんですよ。
 だから……」

「その原因って俺なんでしょ?
 それじゃあ、豊田さんが降ろされる意味が分からないじゃん。

 毎日遅くまで企画詰めててさ」

「……」

「もし俺の一方的な想いで豊田さんが降ろされたっていうなら、俺が企画から降りるよ」

「え!それはちょっと困るよっ」


その言葉に、慌てて木村さんが止めに入ってた。


おそらく、上沢さんが一番の戦力。
その上沢さんが抜けるとなると、この企画自体、見込みがないものになってしまいそうで……。



「俺は、仕事に私情挟むつもりもないし。豊田さんは俺に対して何も思ってないし。

 つまらない感情で豊田さんを企画から外すとか納得できるわけない。


 ひとまず、豊田さんが考えた案を発表してよ」



そう言って、上沢さんはあたしを促した。