「……」
本来のミーティングが入っていた時間になった。
ちらりと顔を上げると、いつものメンバーが立ち上がって、会議室へ向かおうとしている。
その中には上沢さんの姿もあって
自分の軽率な行動のせいであたしが企画から降ろされたというのに
悠々と肩にパソコンを持って、会議室へ向かう姿に苛立ちを感じた。
だけどここで怒っていても仕方がない。
また今日から、なんの変哲もない仕事を続けていればいいんだ。
苛立っていた感情を抑え、パソコンに向かって、ただ無で仕事をした。
うん。
このほうがあたしらしい。
「おい」
「え?」
だけどしばらくして、急に背後から声をかけられた。
その声の持ち主が誰かなんてすぐに分かったので、驚いて振り返る。
そこにはなぜか怒り気味の上沢さんが立っていて、
「何こんなところで仕事してんの?
ミーティング入ってるでしょ」
「いや、でも……」
あたしはもう企画に降ろされて……
「いいから早く。
時間もったいないから」
「ちょっ……」
上沢さんは、あたしの二の腕を掴むと、強引に会議室へと連れていった。

