「抱きしめてあげよっか」
「は?」


ほとんど裸に近い状態で、
シャツだけ身に着けたまま、ベッドに端へと座る上沢さんへと歩み寄った。


予想外のあたしの台詞に、上沢さんは驚いた顔のまま見上げていて……



「……」



そんな上沢さんを
包み込むように優しく抱きしめた。


「……何?」

「ぬくもりが欲しいと思って」

「なめてんの?」

「そんなことないですよ」


言葉は冷たく怒っているのに
決して振りほどこうとしない体。


やられてばかりじゃ嫌。
振り回されてばかりじゃ嫌。


あたしだって、この人を追いつめないといけないから……。



「今ならあたしは、あなたの傍にいますよ」



表の顔は慈しみの……
裏の顔は憎しみの……


二つの意味を持つ笑顔を彼へと向けた。