歪んだ愛しさ故に

 
上着を脱ぎ捨て、勝手にソファーに座っている彼は、
振り向いてあたしを試すように見据えている。


あの瞳が嫌い。
人を見下している顔……。

本当に悪魔に見えるから。



「お前、いつも澄ました顔して、余裕そうだからさ。
 その顔を歪めたくなったの」

「……」



そう言った上沢さんの顔は、心底全ての人を見下した微笑みで……。

あたしを柳さんたちの悪口から庇った上沢さんが、一瞬でもいい人なのかも……と思った自分がバカみたいに思えた。