「お疲れ。相変わらず仕事人間なのな」
「……」


案の定、マンションの前には上沢さんがいた。

寒さのせいか、若干頬が赤い。


「何しに来たんですか」
「お前に会いに来る以外、ここに来る理由あるの?」


思わず、きゅんとくる台詞。

だけどこんな言葉に、惑わされてはいけない。


「あたしは今、世界で一番あなたに関わりたくないんですけど」
「でも俺ら、付き合ってるんでしょ?」
「……」


ああ、忘れてた……。

どうしてこんな男と付き合うことにしてしまったんだろう……。


……奴を懲らしめるためだ。


「とりあえず入ってください。
 風邪ひかれても困るんで」

「はいはい」


いろいろ文句を言ってやりたいけど、今は堪えよう。


自分も寒いし。