「お疲れ様ですー!」
「お疲れ」
「上沢さんたちはこれからランチですか?」
「そー」


オフィスのすぐ目の前で、お互いに立ち止まって話す。

でも明らかにあたしは話に入れる感じじゃないし、先にオフィスに戻ってようかな。

そう思って、足を一歩進めると、


「今日は豊田さんも一緒だったんだ?」


と、それを見計らったかのように上沢さんが声をかけてきた。


「あ……はい…」
「そうなんですよー。
 豊田さんとあまり話したことなかったから、もっと彼女のこと知りたいなー、って」


嘘つけ…。

あまりにも彼女の変貌ぶりに、思わず顔が引きつった。


男も男だけど、女も女だ。
世の中恋愛に必死すぎる。



「あとこの前のこと聞いたんですよー。
 上沢さん、豊田さんと一緒にタクシーで帰ってたじゃないですかぁ。

 いいなー、って思って」



あ、アピール開始だ。

浜野さんの上沢さんへのアタックが始まった。