歪んだ愛しさ故に

 
「なんだよ、あれ……」
「まあまあ!俺らも仕事に戻りましょうか!」


苛立ちを含ませる柳に、なだめる中村。

やがて二人も休憩室を出て行き、再びあたしだけとなった。



「……ほんと…何あれ……」



(彼女。
 俺から見たら、かなりいい女にうつってるんで)



確かに、上沢さんにはあたしの素性を見せている。

それを踏まえての言葉なら、なんとなく分かるけど……
でもまさか、こんなに完璧な上っ面で通している社内で、先輩に向かってあんな言葉を言うなんて……。



「バカじゃないの……」



ここで何か因縁をつけられたりしたって、あたしは何も関係ないだから……。



それでも嬉しいと思ってしまう自分は
もしかしたら結構単純なのかもしれない。