勝手に盛り上がっていた二人の会話に、
空気を変えるような声が一言。
あたしまでもが驚いて、そっと後ろへと振り返った。
「豊田さんから見ても、
あなたたち二人と付き合うのは、真っ平御免だと思いますけどね」
さらりとそんな台詞を言ってのけたのは、ずっと黙って話を聞いていた上沢さんで……
「なんだよそれ。
俺らが豊田よりも下だって言いたいの?」
「下も何も……。
そうやって、勝手に価値を決めること自体、おかしいんですよ」
「……」
さっきまで、散々人を小ばかにして楽しんでいた空気は、一瞬にして変わっていた。
多分これが、
極普通の人が言った台詞なら、喧嘩になったり、問題が発生したかもしれない。
だけど相手が、外見も頭もいい上沢さんの言葉となると、二人も何も言い返せないようだった。
「彼女。
俺から見たら、かなりいい女にうつってるんで」
それだけ言うと、上沢さんは一人休憩室を出て行った。

