歪んだ愛しさ故に

 
「あとあれだな!
 豊田!」


突然、自分の名前を呼ばれて、ドキッとした。


ってか、あたし、あなたたちのすぐ後ろにいるんですけど……。


植え込みで死角になっていることもあり、彼ら3人があたしに気づくことはない。

なんか今ここにいるのバレらたらめんどくさそうだし、引き続き気配を消しておくか。


「豊田さんは………あれっすよねぇ……。
 どう見たって、彼氏いなさそうですよねぇ……」

「っつか、彼氏いない歴=年齢だろ」

「それはまずいですって!
 でもいくら彼女が欲しいって思っても、豊田さんは彼女にしたくないなぁ……」


人を勝手に自分たちの会話に登場させ、失礼極まりないセリフで小ばかにして笑う。