歪んだ愛しさ故に

 
「ですよねぇ。
 そういえば、経理の宮部さんも上沢さんのことを狙ってるっぽくなかったですか?」

「そうそう!
 宮部ちゃんと言えば、社内で一番可愛いじゃん。
 その子よりも可愛いわけ?」

「はい」


え……。
それはなくない?

と心の中で思う。

宮部さんと言えば、いわゆるこの会社のアイドル的な存在で……。

性格も明るく優しいし、見た目も目が大きくいかにも女の子と言ったような人。
同性のあたしから見ても、彼女は可愛いと思う。

だけど上沢さんは、即答で「はい」なんて答えてるし。


「でもこれで、宮部さんも狙い時が来るんじゃないですか?
 他の女の子、彼氏持ちが多いですしね」

「あーそうかも。
 合コンでハズレだったら、宮部ちゃん狙うか!」


勝手に、盛り上がっている柳と中村。


女をなんだと思ってるんだ……。
お前らみたいなやつ、合コンに来る女の子も宮部さんも相手にするわけないだろ。


勝手に自分より格下げにして話している二人に苛立ちを感じ、
心の中で彼らを呼び捨てにして突っ込んだ。